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日本ゼオン株式会社(以下「ゼオン」)はクインタック・スチレンブロック共重合体と呼ばれる新素材を開発しました。この新しいポリマーはQSBC(Quintac Styrene Block Copolymer)とも呼ばれ、ゼオンのナノレベルでのポリマー構造制御技術により、このゴムの柔軟性とプラスチックの強度を兼ね備えた新しいTPE(熱可塑性エラストマー)の設計が可能になりました。

主な技術の特徴および優位性

  • 高応力・高復元性の両立
  • ポリウレタンやポリアミド(ナイロン)に比べて低密度のため軽量化可能
  • 高温領域(170℃)までの安定性(熱劣化、黄変、溶融なし)
  • SIS、ポリウレタン、ポリオレフィンに比べて低臭気
  • ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)材料よりも非常に優れた加水分解耐性
  • ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)材料よりも優れた紫外線耐性
  • 高い耐酸・アルカリ性
  • 優れたオイル保持力

 

可能性のある用途:

  • 単体としてのQSBC:
    • 高温感圧性接着剤
    • 耐高温性フィルム類やシート類
    • 高温成形品等
  • 他の熱可塑性エラストマー/樹脂とのブレンドまたはポリマーアロイ中のQSBC
    • カテーテル、ステントなど医療用チューブ製品、医療用プラスチック用品、その他様々な医療機器
    • 伸縮性スポーツウェアなどアパレル用品
    • 手術シミュレーション用の模擬臓器
    • サスペンション、エンジン搭載用部品
    • 自動車、オートバイ、スクーター、マウンテンバイク用サイレントブロック(振動、衝撃吸収材)
    • 自動車内装部品(プラスチック部品への耐衝撃性付与)
    • ABS用軟化剤
    • 電子機器のハウジング
    • TPU(熱可塑性ポリウレタン)、TPE(熱可塑性コポリエステル)、TPAE(熱可塑性ポリアミドエラストマー)に代わる可能性があります。

用途によりシリコーン樹脂を代替できる可能性があります。

技術概要

QSBCは、非常に薄くても弾力性を維持しており、その事が市場の他の機能性素材との差別化要因となっています。 製品の弾力性を高めるために使用されている素材の代替としてQSBCを利用することにより、多くの最終製品の軽量化につながる可能性があります。

QSBCは非常に優れた耐加水分解性、耐UV性を持つため、屋外や水分に接する機会が多いアパレル(特にスポーツアパレル)、そして製造工程で高温による加熱成形や紫外線殺菌が求められるような医療器具への適用可能性があると想定しております。

また、QSBCは高い耐湿性を持ち、170℃までの耐熱性があります。 その低臭気と検出限界を下回る低VOCという特徴を持っているため、ホットメルト感圧接着剤や封止剤のためのポリマー性能改良剤として使用できるのではないかと考えています。用途としては自動車の内装、消費財、医療分野などが想定されます。またQSBCは透明ポリプロピレン(PP)のための優れた耐衝撃性能改良剤または可塑剤/靭性改良剤として使用することができます。

熱可塑性ポリマーの改質剤として使用される場合、QSBCはSEBSを添加する場合と同様の量で混合することができます。

加工性や作業性の向上を目指すメーカー企業様には、樹脂の加工や混合を容易にするQSBCを是非ご評価いただきたいと考えています。

技術詳細情報

高応力と高復元性:

QSBCの永久伸びは1%で、下記ヒステレシスデータで示されているように、ポリウレタン、ポリアミドエラストマーよりもはるかに低い値です。ミクロ相分離構造を制御する事で、高応力領域(高弾性率)でも非常に優れた復元力を発現できています。

軽量化:

QSBCは低密度のため、現在ポリウレタンやポリアミド(ナイロン)を使用している製品の軽量化を実現できます。

 

適用可能温度環境:

-30℃から80℃まで非常に幅広い温度環境で使用される用途に適用可能です。

加水分解耐性と紫外線耐性:

ゼオンのQSBCはポリアミド(ナイロン)や伸縮性の高いポリウレタンと比べ非常に優れた加水分解耐性を示しており、2000時間後の引張強度保持力に変化がありません。紫外線耐性もまた優れた性能を示しており、ポリアミド、ポリウレタンと比較し300時間での比較では約2倍の引張強度保持力を示しています。

耐熱性能:

QSBCは170℃までの温度で3時間、その形状と透明性を維持します。それに対して他のほとんどのTPE(ポリウレタン系、ポリオレフィン系など)は溶融、変形、変色を始めます。その低VOCと低臭性はポリウレタン、ポリオレフィンよりもはるかに低い特性です。

耐熱性の指標としての低VOC:

素材が分解されるとVOCや悪臭を放出します。そのため低VOCや低臭気は、素材の耐候性が高いことを示す指標の一つとなります。QSBCを170℃で30分間加熱しても臭気は検出されません。また、VOC成分も検出されません。既存のSIS、ポリウレタン、ポリオレフィンは、図4に示すように、同一試験中に分解を開始し、VOCや悪臭を発生させます。

従いまして低VOC、低臭気であるQSBCは高い耐候性を持つことを示しており、医療機器、自動車(内装部品)、接着剤産業での使用に適しています。

耐候性の指標としての低VOC他の熱可塑性エラストマーとの比較:

4 = excellent, 1 = poor  //  L: Low, M: Medium, H: High

※SBC=スチレン系ブロックポリマーの略でSISやSBS全般で、水添SBCはSEPSやSEBSを指す

 

開発段階:

ゼオンのQSBCは現在、製品開発の最終段階にあります。

各方面のユーザー様に広くご使用いただけるよう要求仕様と適合性について検討したいと考えております。少量サンプルの提供が可能でございます。(2022年9月~)

様々な用途で新素材をお探しのお客様からのご連絡(サンプル評価のご希望など)をお待ちしております。

 

求めている協業の種類:

ゼオンではQSBCを使用した製品開発にご興味のあるエンドユーザー様を探しています。

 

本素材にご関心ございましたら、下記までご連絡ください。

株式会社イェットツー・コム・アジア

住所:東京都千代田区神田錦町3丁目15番地5号HK パークビルI 2階

電話:03-5217-0217 Fax: 03-5217-0218

e-mail: yet2.japan@yet2.com


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