イノベーションは伝統的小売業を救えるか?

シェア

ベビーブーマーやX世代にとって、青春時代を過ごした店舗が姿を消しつつある。トイザらスは清算・閉店する最新の大手小売企業だが、米国の小売市場ではシアーズやJ・C・ペニーも多くの店舗を閉鎖している。多くのショッピングモールの主力であったクレアーズは、最近連邦破産法第11条の適用を申請した。

全米のショッピングモールは瀕死の状態にあるという認識が広まっている。しかし、消費者とアナリストのモールへの信頼度は一致するよると、「過去3ヶ月間にモールに行った消費者は約1億6500万人」であり、「成人の82%が、今後5年から10年後もショッピングモールは存在すると信じている」。

しかし、オンライン小売業者は従来の実店舗型小売業者を凌駕している。Deloitteの2017年ホリデー調査によると、より多くの買い物客が店舗よりもオンラインでプレゼントを購入する予定だった。しかし、伝統的な店舗からビジネスを奪っているのは、アマゾンやウォルマートのようなオンライン小売業者(そう、彼らは「伝統的な」小売業者だが、eコマースの大手でもある)だけではない。伝統的な小売業者も、マルチレベル・マーケティング(またはネットワーク・マーケティング)企業との競争にさらされている。

問題は、顧客がオンラインや友人・知人を通じて「ある商品」を購入すること以上にある。買物客が小売店のドアを通らなかった場合、失われる収益は、その買物客が購入しようとした商品と、その買物中に行われる可能性のある衝動買いによるものである。例えば、アメリカ人の84%が衝動買いをし10件中8件は店舗で衝動買いをしているという調査結果もある。それに対応する収益の損失は大きい。

これらすべては、伝統的な小売業者やモールの死を示唆している。しかし、そうである必要はない。小売業は、広くイノベーションの機が熟しているのだ。小売業が生き残り、やがて再び繁栄するためには、イノベーションがどうしても必要なのだ。

小売業における革新

この冬、全米小売業協会(National Retail Federation)は毎年恒例のトレードショーを開催した。今年の展示会では、イノベーション・ラボ(Innovation Lab)が設置され、「小売業界における革新的な新技術やスタートアップ企業を一堂に集めた」展示が行われた。これらのイノベーションは、オンライン・ショッピング体験の強化、モバイル・ショッピング体験の拡大、さらにはARやVRをショッピング環境に導入する方法など多岐にわたった。また、バックオフィス業務や倉庫業務に焦点を当てたイノベーションもあった。どれもクールで、収益に貢献する可能性はあるが、買い物客を店舗に呼び戻すには何の役にも立たない。そして、イノベーションが従来の実店舗型小売業者にとって重要な役割を果たすことができるのは、そこなのだ。

その答え店舗に人を呼び戻す

人々を店舗に呼び戻す方法についての答えはひとつではない。しかし、小売業者(およびショッピングモール運営会社)がこれを主要な使命とするならば、そのイノベーションは様々な形をとることができる。それはすべて、店舗での体験を有意義で、魅力的で、価値があり、そしておそらく楽しいものにすることに焦点を当てるべきである。国際ショッピングセンター協議会(ICSC)の調査によると、ショッピングセンターは「ショッピングとエンターテインメントを組み合わせた魅力的な体験を創造する必要がある」という。

それは、新しいテクノロジーを取り入れることかもしれないし、ノードストロームのように、ブランドの価値は顧客サービスにあると理解し、顧客サービスをショッピング体験の礎にすることかもしれない。ショッピングモールを複合施設に変えることかもしれない。重要なのは、物理的なショッピング体験をとても楽しく、やりがいのあるものにすることで、数回クリックするだけで商品が手元に届くという手軽さよりも説得力のあるものにすることだ。

シェア

スタート

当社の営業チームにご連絡いただければ、即効性を発揮し、長期的な戦略的価値を引き出すためのソリューションをお客様と一緒にお探しします。