概要
「外部刺激で色が変化(消色)する着色材料に関する技術」
背景
サステイナビリティが叫ばれる昨今、多くのプラスチック材料のリサイクルが推奨されている。しかしながら様々な着色材料が混在するごみ処理において、着色成分を除去し、透明なプラスチックとしてリサイクルすることは難しく、完全なリサイクルの実行は困難です。実際のリサイクルプラスチックは着色しているものが多く、再利用先は衣類向け繊維やプランター(flower pots)など一部の用途に限定され、多くのの使用済みプラスチックはエネルギー源として燃やされています。
そこでプラスチックの色を変化させ、リサイクル性を高める下記のような技術を求めています。
- 製品ライフサイクルの終盤(製品の使用後)で着色材料の色をなくす、もしくは変化させることが可能な技術
- 消色したいときに着色材料を変化させ、色を出さなくする技術
現状
プラスチックの着色技術は大きく以下2つに分けられます。
- 着色技術1.プラスチック原料の溶融時に着色材料を混練し、着色する
- 着色技術2.プラスチック(フィルム)表面に着色材料を塗工し着色する
一般的な既存消色プロセス(脱色プロセス)は以下の2つになります。
- 消色プロセス1. 着色技術1で着色された廃プラスチックは通常、有機溶剤にプラスチック成分を溶解後、その溶液を吸着材塔に通液し着色成分を吸着する脱色プロセスで除去する
- 消色プロセス2. 着色技術2で着色された廃プラスチックは通常、有機溶剤により着色材料を洗浄するなどの脱色プロセスにより除去する
効果・結果に関する要件:
今回は、新たな消色技術として「外部刺激で色が変化(消色)する技術」を探索したい。
例えば、
- 製品ライフサイクルの終盤で、製品の使用後に着色材料の色をなくす、もしくは変化させることが可能な技術(色が消色しなくても外部刺激で吸収波長がシフトするような材料でも関心があります)
- 消えて欲しいときに着色材料の構造等が変化して、消色するような技術
- 外部刺激の種類は、熱、光、電磁波、圧力(物理的力)など何でも構いません。但し、通常の環境下で消色させて色の回復(再発色)は避けたい
但し、上記「外部刺激で色が変化(消色)する技術」に限定せず、プラスチックフィルム、容器から着色材料を取り除く新しい脱色技術として、上記消色プロセス1,2に適用可能な、着色材料、消色(脱色)プロセスなどのご提案にも大変興味があります。
既に認識している領域:
- 消色技術としてロイコ染料は認識しているが、それ以外の消色技術を見つけたい。ユニークなロイコ染料があるならばそれには興味があります。
解決策があると想定される技術領域:
- クロミズム(フォトクロミズム、メカノクロミズムなど)技術分野
- ロイコ染料分野
- 技術領域以外ではサステイナブルな環境作りへの取り組みが活発な欧州では今回のニーズに対するソリューション技術の開発に取り組んでいる企業、研究機関が多いのではないかと想定される
制約条件
初期評価のために、入手したい情報は以下の通りです。
- 物質名/技術名
- 開発段階
- 色(変色)もしくは脱色のメカニズム
- 特徴(競合技術との比較、優位性)
- プラスチック中(もしくは表面)で消色可能な着色材料の技術を優先的に探しております
- 加熱により色が変化する材料には感心があります
- 着色材料の化学構造変化により消色した際に、その構造変化した化合物がプラスチック基材中に残っても良いです
- プラスチックや着色材料の洗浄、及び、プラスチックフィルムの解重合後に着色材料を分離する技術にも大変関心があります。
- プラスチック基材の種類は、特に限定しておりません