プロアクティブ技術スカウティングを利用するタイミング
プロアクティブ技術スカウティング(能動的)とオープンイノベーション・ポータル(受動的探索)のどちらが最適か? 3回に分けてこの質問にお答えいたします。今回はその第2回目です。

能動的技術スカウティングとオープンイノベーション・ポータル(OIポータル)のプロバイダーとして、私たちはしばしば、それぞれのアプローチをいつ使うべきかという質問を受けます。この2つのアプローチはそれぞれ異なる目的のために用いられますが、意外にも補完的な関係にあることをご存知でしょうか。私たちのポータルサイトのクライアントの80%は、同時にyet2のアクティブ技術スカウティングも採用しています。
3回に分けてお届けする本シリーズでは、それぞれのアプローチの利点を紹介し、同じ技術スカウティングのニーズに対して両方のアプローチを使用することによる隠れた相乗効果を考察してみたいと思います。
今回は能動的技術スカウティングを利用するタイミングについてお届けします。
前回第1回目の記事はご覧いただけましたか? シリーズ第1回目『オープンイノベーション・ポータルを使うタイミング』も併せてご覧ください。
能動的技術スカウティングを利用すべきタイミング
yet2は、20年以上に渡りオープン・イノベーション・コンサルティング・サービスを提供して参りました。当社のサービスは進化していますが、OIポータルサービスを提供しても能動的技術スカウティングは引き続き当社の中核的なサービスであり続けています。能動的技術スカウティングを活用することで数多くのメリットが得られますが、その中でも最も一般的なものをいくつかご紹介いたします。
機密事項や戦略的なニーズに対する解決策の探索
yet2は、グローバルなネットワークを駆使し、潜在的なソリューションプロバイダーを発掘いたします。クライアントのニーズが極めて戦略的で、特定の技術分野や市場を調査していることを知られたくない場合には匿名でスカウティングを行います。yet2のイノベーション・コンサルティング・チームは、クライアントの匿名性に細心の注意を払いつつ、潜在的なソリューション・プロバイダから機密情報を含まない形で関連情報を収集する独自の専門知識を持っています。そして、クライアントが前進するのに十分な情報を収集し、クライアントの承認を得た後、有望なソリューション・プロバイダーにクライアントを直接紹介し、さらなる議論と評価を促します。最近の例として、yet2は、特定の中米市場への参入を希望するヘルスケア企業に対するパートナーシップや企業買収活動を支援しました。私たちのチームは、匿名でソリューションプロバイダー候補を集め、クライアントが安心して直接話し合えるように十分な情報を収集しました。クライアントの露出を最小限度に抑え機密保持を確保しつつも有望な候補企業を2社抽出することに成功しています。
CMOおよび代替サプライヤー候補の特定
能動的技術スカウティングのもう一つの有効な手段は、新たな製造受託機関(CMO)やサプライヤーを探す場合です。このようなシナリオでは匿名性を維持しできる、能動的技術スカウティングが理想的です。このような場合、クライアントは自社のネットワークが強固でない市場を対象とする場合が多くグローバルな拠点及び人材、また広範なネットワークを持つyet2は各地域で最適なパートナーを見つけることができます。サプライチェーンの寸断や経営上のリスク管理の観点から早急に新規CMOやサプライヤーを探索しなければならない場合もあります。能動的な技術スカウティングは、クライアントが数年ではなく数ヶ月で解決策を見出すのに役立ちます。
明確なソリューション条件を備えたニーズ
探索対象となる技術の特性や開発段階などが明確である、または特定成分や材料を探索する場合、能動的な技術スカウティングが好ましい選択肢となります。例えば、yet2はNASA(アメリカ航空宇宙局)に代わって、宇宙の過酷な条件に耐えるために特定の性質や性能を持たなければならない新素材や新技術の能動的な技術探索を数多く行っています。このように「必須条件」が明確な場合、スカウティング結果との適合性は必然的に高まります。つまりニーズが「必須条件」を持つ場合、能動的技術スカウティングは理想的なアプローチになり得ます。
ステークホルダーの賛同を得る事による効率化
クライアントの希望調査範囲や予算により異なりますが、yet2の技術探索プロジェクトのほとんどは、最初の数週間から1ヶ月以内に有望なソリューション候補をクライアントに提示し始め、3ヶ月~4ヶ月程度で終了します。yet2独自の手法はソリューションの特定だけでなく、フィルタリングや評価なども含み、適切なタイミングで自社内のステークホルダーの賛同を得る機会をご提供いたします。結果として外部組織とパートナーシップ構築までの時間と手間を大幅に削減することが可能になります。yet2ではデューデリジェンスと意思決定を可能な限り加速させるために、主要な意思決定者が参加するタイミングでウェブまたは対面のミーティングを中心にプロセスを進めます。
次回は、このシリーズの3回目(最終回)、“OIポータルとプロアクティブ技術スカウティングの両方を利用するタイミング“ をご案内いたします。
能動的技術スカウティングは、OIポータルよりも積極的に潜在的なパートナーを探索・特定するアプローチで、トピック別のスカウティング、オープンイノベーションツアー/ピッチデー、ディールフロー(スタートアップ情報)の継続的な提供など、さまざまな形態をとることができます。
お客様のニーズに合ったアプローチについて、詳しくは弊社にお問い合わせください。
画像引用元: Juned Alam & Reto Scheiwiller Pixabayより